2016年10月31日月曜日

【そうだったのか!TPP-Q14】食の安全基準は守られたの?

Q14.食の安全基準は守られたの?

A14.消費者が求める厳しい規制はできなくなります


 政府は「今後も日本の安全基準が変わるようなことはない」と説明していますが、そうではありません。食の安全を守るために規制しようとすると、明確な科学的根拠が必要になり、消費者は食べたくないものがあっても、ますます避けることができなくなります。

 TPP協定の第7章「衛生植物検疫(SPS)措置」には、SPS委員会という専門委員会が新たに設置され、食品の安全性について検討することが書かれています。ここでは締約国や利害関係者が意見を述べることができ、「リスク分析」という客観的で科学的な証拠に基づく考え方が用いられます。

 これは、輸出国や遺伝子組み換え企業・食品企業などにとって大変都合のいいルールです。例えば、遺伝子組み換え作物など、安全かどうか世界でまだ科学的に結論が出ていないものについても、はっきり危険だと証明する必要が出てきます。ヨーロッパでは「予防原則」といって、科学的に因果関係が十分証明されていない状況でも規制を行う考え方がありますが、こうした慎重な考え方は通用しないのです。

 日本政府は、BSE対策や遺伝子組み換え食品の承認、食品添加物の使用基準、農薬の残留基準などについても規制緩和をどんどん進めています。その背景には、TPPの貿易優先の考え方に沿い、アメリカからの要求に対して日米平行協議で譲歩を重ねたこと、さらには国際機関の甘い基準を重視していることなどがあります。TPPが発効すれば、消費者が求める厳しい規制はこれまで以上に実現できなくなります。(山浦康明)

Attention! 第7章 衛生植物検疫(SPS)措置
●第7.5条1項 締約国は、この章の規定を効果的に実施し、及び運用するため、(中略)衛生植物検疫措置に関する委員会を設置する。
●第7.9条2項 各締約国は、(中略)自国の衛生植物検疫措置が(中略)合理的に関連する記録された客観的で科学的な証拠に基づいていることを確保する。
●第7.13条1項 締約国は、(中略)衛生植物検疫措置について利害関係者及び他の締約国に対して意見を述べる機会を与えることの価値を認める。

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2016年10月30日日曜日

メールニュース TPP批准にSTOP! Vol.10 月内の衆院通過見送り4日までに採決か?国会前抗議行動に集まろう!


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■■  \\  メールニュース TPP批准にSTOP! Vol.10  // ■■
■           10月29日発行               ■


※このメールニュースはこれまでTPPテキスト分析チームのブックレットや集会にご参加くださった皆様をはじめTPP阻止の取り組みでご一緒した皆さまにお送りしています。ご不要な場合は管理者宛て(末尾)にご連絡ください。


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 1.月内の衆院通過見送り 4日までに採決か
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今週半ばから再び正常化したTPP国会審議。しかし依然として「月内採決」「28日に強行採決か」という大きな懸念がありました。

26日には北海道と宮崎県で地方公聴会が開かれました。その翌日の27日には初めて野党側の参考人質疑が行われ、TPPテキスト分析チームのメンバーでもある内田聖子(NPO法人アジア太平洋資料センター)と山浦康明(TPPに反対する人々の運動、明治大学教員)の2名が参考人として委員会に出席しました。

内田は、TPPの秘密主義について「これまで日本が結んだ通商協定と比べてもTPPの秘密主義は突出している。日本が参加する際に交わした『保秘契約書』も秘密という、前代未聞の交渉だ」と指摘。またこの日のテーマが食の安心・安全であったことから、「米国ではモンサントなどのバイテク企業が長く政府にロビイングをし、自分たちの要求をTPPに反映させてきた。これら企業は『遺伝子組み換え作物の貿易に関する規制をなくすこと』『遺伝子組み換え食品の表示をなくすこと』などを求めてきた。TPP協定が今後も変化していくことを考えると、食の安心・安全が本当に守り切れるのか大いに疑問だ」と話しました。

山浦は、「TPP協定によって遺伝子組み換え食品の安全性評価が後退するという危機感を持っている。消費者は厳格な表示を求めているが、できなくなるのではないか。食品の安全などの詳しい審議をしないままでは、全く不十分だ」と述べました。

またこの日は「農業」分野での野党側の参考人質疑も行われ、鈴木宣弘氏(東京大学)と田代洋一氏(大妻女子大学)も参考人として出席。両者とも日本の農業にとってTPPは大きな打撃を与え、試算や対策、さらに米のSBS問題の調査もまったく不十分であることを厳しく指摘しました。

大変に幅広い分野にかかわるTPPについて、本来であればこのように研究者や市民団体の声を幅広く聞き、その上で十分な審議をつくすのが国会の役目です。10月31日(月)にも著作権とISDSについての野党側の参考人質疑が予定されていますが、こうした参考人質疑が各分野であと数十回は必要だと思います。

28日には安倍首相も出席した審議が行われました。与党は28日に採決という当初の目標は断念したものの、「月内採決」「11月4日までに採決(その場合は会期延長)」などのスケジュールがマスメディアから流れてきます。採決を数日延ばしたからといって、「熟慮した」「議論を尽くした」などとは到底言えません。

とにかく今国会での批准を完全に阻止するために、来週以降も引き続き最大限集中して国会内外で力を尽くしましょう。特別委員会での野党の質問や、参考人質疑の内容を拡散し、少しでも多くの人にTPPの持つ危険を訴えていきましょう!


【参考リンク】
★【衆院TPP特】TPP協定締結後の各国の安全基準の後退等について議論 篠原議員 - 民進党
http://www.minshin.or.jp/article/110214

★内田聖子、山浦康明参考人 質疑【衆議院 国会中継】~平成28年10月27日 TPP特別委員会~
https://www.youtube.com/watch?v=19hMLbqnCk0

★2016.10.28 【TPP】承認急げば米国利するだけ-横浜国大・田代名誉教授
http://www.jacom.or.jp/nousei/news/2016/10/161028-31222.php


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 2.北海道・宮崎公聴会 不安・批判の声相次ぐ
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26日(水)、地方公聴会が北海道と宮崎県で開催されました。出席した農家や消費者の代表たちからは、国会の審議が不十分なまま衆院通過を急ぐ政府・与党への批判が相次ぎました。

両会とも4名が公述人として出席し、北海道は、賛成・容認派が2名、慎重・反対派が2名、宮崎は、前者が1名、後者が3名という構成でした。

北海道農民連盟書記長の山居忠彰さんは、「北海道は8月の台風で甚大な被害を受けた。こんな状況で、国民の命と暮らしにかかわるTPPを強行採決することには断固反対だ」と話し、酪農学園大学名誉教授の中原准一さんは、「北海道の農業はすでに危機的状況。さらに重要5品目の全農産品に関税や制度面でくさびを入れられたらどうなるのか」と強調しました。

宮崎大学名誉教授の藤原宏志さんも「4人の意見を聞いただけで国民の声とするのか。もっと時間をかけて説明する責任が政府と国会にはあるのでは」と主張。畜産農家を営む興梠哲法(こうろきてつのり)さんは、「政府は農産物の輸出を強調するが、輸出できる作物を生産する農家は限られている。攻めよりも、農村を守る約束をしてほしい」と要望しました。

一方、賛成・容認派として、北海道の東和電機製作所専務取締役の浜出滋人さんは「当社の売上高海外比率は50%。TPPの影響でさらなる市場拡大が望める」と話し、宮崎県の河野俊嗣知事は、「日本からアメリカに輸出する牛肉の4割以上は宮崎県産。攻めるところは積極的に攻めたい。また、県内の企業の競争力強化や雇用創出につながり、経済活性化が期待される」と話しました。

会場の外では、どちらも、抗議行動の市民が多数集まりました。TPPの内容に関する抗議はもちろん、「TPPは国全体の問題なのに、なぜ公聴会がたった2箇所で、ごく一部の人しか入れないのか」「これで国民の声を聞いた、などと言わないでほしい」など、公聴会のやり方にも疑問・批判の声が多数上がりました。


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 3.国会前 抗議行動に集まろう!
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28日強行採決は回避できましたが、依然として予断を許さない状況が続き、4日採決という声も聞こえてきています。来週も以下のとおり、抗議行動が行なわれる予定です。そんな横暴は許さない!という声を強く上げていきましょう!


★10月31日(月)の行動: 

10時~15時 衆議院第2議員会館前座り込み

15時30分~17時30分 ジェーン・ケルシー教授による講演と意見交換
 演題「アメリカを始め各国がTPP批准できない現状について」
 問い合わせ先:TPP交渉差止・違憲訴訟の会 TEL.03-5211-6880 FAX.03-5211-6886
http://tpphantai.com/info/20160712-announcement-of-tpp-lecture-by-jane-kelsey/


★11月1日(火)の予定:

10時~ 衆議院第2議員会館前座り込み(終了時間は委員会の状況によります)



■■■31日は、ジェーン・ケルシー教授が参加する以下イベントも開催されます■■■

Stop TPP ミーティング ~ケルシー教授&山田正彦&三宅洋平
10月31日(月)17:30~21:30
場所:Social Club Tokyo(渋谷)
https://www.facebook.com/events/1218406374861943/


 
■■国会議員地元事務所への要請行動も並行してやっていきましょう!■■

(1)地元事務所への要請の意義
国会議員は、地元有権者の動向を見ています。とくに自民党議員は、2012年の「TPP断固反対、ウソつかない、ブレない自民党」という公約に反した行動をとっているわけですから、なおさらです。参議院選挙、新潟知事選挙に示された市民と野党の共闘の力は、「公約に違反してTPP批准に賛成した議員は国会に戻さない」という有権者の強い意志にも通じます。地元事務所への要請の大事な意義はここにあります。

(2)要請のためのグッズ
「要請」ならびに「10.15中央集会アピール」(※)、できればブックレット「そうだったのか!TPP 24のギモン」も手渡して、議員や秘書などに読んでもらいましょう。議員も、自分の目で協定を確かめないで、「国会決議に反していない」という政府・官僚の説明をうのみにしている可能性があります。

※こちらでダウンロードできます。

http://nothankstpp.jimdo.com/


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 4.TPPを批准させない!水曜日行動
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これまでTPP批准阻止に取り組んできた幅広いネットワークは、下記の通り、「TPPを批准させない!水曜日行動」として、毎週水曜日に院内外で行動を行なっています。国会情勢を知り、声を上げていくために、ぜひご参加ください。

◆野党議員による国会報告&議員会館前アクション
11月30日(水)までの毎週水曜日 ※11月23日は休み

●17時~18時・国会報告と意見交換(議員会館内会場)
●18時半~19時半・議員会館前抗議行動

●会場:   
11月2日(衆院第二議員会館・多目的会議室)  
11月9日(衆院第一議員会館・大会議室)
11月16日(衆院第二議員会館・多目的会議室) 
11月30日(予定:衆院第一議員会館・多目的ホ-ル


●呼び掛け:TPPを批准させない!全国共同行動
http://nothankstpp.jimdo.com/


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 5. あの人もTPPに注目! ~高橋源一郎さん
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TPPに注目しているのは、私たち市民だけではありません。このコーナーでは、実はあの有名人もTPPに注目し、疑問を投げかけている! という発言を随時紹介していきます。ぜひツイッターやフェイスブックなどで拡散してください。

今回は、作家の高橋源一郎さん。ある講演の中で、次のように話しています。

「人口学者のエマニュエル・トッドは、TPPについて変わった観点を提示しています。経済的自由の推進は政治的自由を阻害する。『自由』という名の下に推進される政策の中に民主主義を破壊するおそろしい成分がある。これがトッドの考え方です。ぼくも同じように考えています」

「戦後68年目を迎え、この国はゆるやかに坂をおりていこうとしています。坂をおりていくことを拒む人たちは、もう一度坂を上がろうとして、その象徴が、強い国というスローガンであり、改憲によって普通の国になろうとする願望であり、TPPという名前でのグローバル経済への参入です。しかし、本当にそれが、坂をおりていこうとするこの国の未来に幸せをもたらすでしょうか。ぼくはその点に深い疑問を抱いています」

このコメントは、こちらで視聴できます。ぜひごらんください。

神奈川憲法アカデミア・シンポジウム
『岐路に立つ日本 -改憲・TPP・脱原発を考える-』(2013/07/05)
https://www.youtube.com/watch?v=VvAZgVWt5rE
(TPPに関する発言は20:20ぐらいから)


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 6. TPPで食の安全は守られるのか?
  条文の分析から見えてきた真実
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TPPテキスト分析チームの山浦康明(明治大学)と内田聖子(アジア太平洋資料センター)のインタビュー記事が下記のサイトに掲載されました。子どもたちの食の安全について、TPP条文の分析を切り口に語っています。ぜひご一読ください。

★[子どもたちの食(3)]TPPで食の安全は守られるのか?条文の分析から見えてきた真実
http://kokocara.pal-system.co.jp/2016/10/17/childrens-food-3-tpp-food-safety/


このサイトには、ほかにもTPPに関わるインタビュー記事が掲載されています。こちらもぜひご一読ください。

★[子どもたちの食(1)]TPPの脅威から、どうしたら日本の米を守れるのか?
http://kokocara.pal-system.co.jp/2016/09/20/childrens-food-1-tpp-threaten-rice/

★[子どもたちの食(4)]TPPって、“生きること”が大事にされていない―枝元なほみさん
http://kokocara.pal-system.co.jp/2016/10/24/childrens-food-4-tpp-nahomi-edamoto/


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 7. 大好評で6万部突破!
  ブックレット「そうだったのか!TPP」
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TPPテキスト分析チームが8月に刊行したブックレット「そうだったのか!TPP」は、発売以来、全国から注文が相次ぎ、増刷を続け6万部に達しています。学習会などでご利用いただいていますが、まだまだ多くの方にお読みいただきたいと願っています。

※TPPの中身をわかりやすく、24のQ&A方式でまとめています。学習会やイベントでTPPの問題を考えるテキストとしても最適です。
※本ブックレットは、1部100円(送料別、注文は5部以上)で販売しております。また全ページ、PDF版で閲覧可能です。

ぜひお読みいただき、TPPについて考えるきっかけとしてご利用ください!
★詳細・ご注文は→ http://notppaction.blogspot.jp/2016/08/tppq.html



■■■TPPテキスト分析チーム■■■

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編集後記
今回は土曜日配信となってしまったことをお詫び申し上げます。さて、「強行採決」発言の山本有二農林水産相のさまざまな疑惑が次々に噴出しています。米の売買同時入札(SBS)を巡る不正取引問題で農水省の調査対象となっていた輸入業者や卸売業者から資金提供を受けていたそうです。また、国土交通省と高知県が発注した工事の官製談合で指名停止となった建設会社の役員からも政治献金を220万円受けていたとか。さらに、昨年11月には、地元の「JAまつり」で「TPP交渉『大筋合意』撤回」という署名にサインしていたという無節操ぶりも判明。「金や票になるならサラ金業者の代弁でもなんでもやるタイプ」という声も聞こえてきます。こんな人がなぜ農林水産大臣なのでしょうか・・・。怒りを通り越して、開いた口が塞がりません。(柴田麻里)
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【編集】アジア太平洋資料センター(PARC) 内田聖子/柴田麻里
【発行】TPPテキスト分析チーム
●毎週火曜日・金曜日発行
※本メールニュースはウェブサイトでも掲載しています。
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※登録は無料です。どなたでも登録可能です。ぜひ周りにお勧めください!

2016年10月28日金曜日

【そうだったのか!TPP-Q13】遺伝子組み換え(GM)表示は なくならないの?

Q13.遺伝子組み換え(GM)表示は なくならないの?

A13.表示はなくならなくても輸入は増えます


 遺伝子組み換え(GM)表示がすぐになくなることはありませんが、今の日本の表示は不十分です。より厳しい義務表示はできなくなります。

 現在、日本で流通するGM作物は大豆、とうもろこし、菜種、綿実で、これらを使った食品には「大豆(遺伝子組み換え)」などと表示することになっていますが、これを積極的に書きたがる企業はいません。GMと非GMを分別していない(混ざっている)場合は「不分別」と表示することになっているので、実際にはGMを使っているのに関わらず「遺伝子組み換え使用」と書く必要がないという、甘いルールなのです。また、油やしょうゆなど加工度が高いものは表示義務がないなど、抜け道がたくさんあります。


 こうしたなか、消費者からはより厳格な義務表示を求める動きもあります。しかし、TPPでそれはできなくなるでしょう。TPP協定の第8章「貿易の技術的障害(TBT)」には、各国が食品表示のルールを作る際の規定があり、「義務表示」など強制力のある表示を行う場合は、輸出国やGM企業なども利害関係者として関与できる仕組みがあり、必ず反対してくるからです。

 今後GMは、アメリカで承認され話題となったサケなど動物にも広がります。そうしたものに表示義務を課すことも難しくなるでしょう。


 さらに、未承認のGM食品・穀物がわずかに(5%以上)混入していた場合、「違法だから」とアメリカなど輸出国に送り返すことができず、「まず協議する」というルールも作られました。それらを日本が早く合法化するよう、輸出国が要求することも可能になります。日本は、ますます遺伝子組み換え大国への道を突き進むことになるでしょう。(山浦康明)

Attention! 第8章 貿易の技術的障害(TBT)/第2章 内国民待遇及び物品の市場アクセス
●第8.7条1項 各締約国は、他の締約国の者に対し、(中略)強制規格、任意規格及び適合性評価手続の作成に参加することを認める。
●第2.27条8項 LLP(GM作物の微量混入)の発生による貿易の混乱の可能性を減ずるため、(a)(中略)現代のバイオテクノロジーによる生産品の承認のための申請を(中略)奨励するよう努める。

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2016年10月27日木曜日

【そうだったのか!TPP-Q12】国産表示があれば心配いらないのでは?

Q12.国産表示があれば心配いらないのでは?

A12.アメリカでは牛肉の国産表示が禁止されました


 じつは、アメリカではこれまで、国内法で牛肉や豚肉の原産国表示が義務付けられていました。米国民はどうしても国産肉を買うため、カナダやメキシコはそのぶん、自国の牛肉が売れなくなります。これは輸入肉に対する差別であり、公平な自由貿易を定めたWTOルールに違反するとして、カナダとメキシコはパネル(紛争解決のための委員会)に訴えました。

 2015年5月、パネルの上級審は、「必要とされる記載を超える負担のある表示」、つまり不当な貿易障壁に当たるとして、訴えを認めたのです。アメリカは敗訴し、原産国表示を廃止しなければならなくなりました。


 WTOの判断の元となった規定は、TPP協定の第8章「貿易の技術的障害(TBT)」にも準用されています。つまり日本の農産物も、原産国の表示ができなくなる可能性があることを意味しています。

 産地の表示ができればいいのでは、と考える方もいるかもしれませんが、それも難しくなるかもしれません。第18章「知的財産」では、地理的表示が「一般名称として日常の言語の中で通例として用いられる言語」(例えば、「新潟県産こしひかり」や「宮崎県産マンゴー」などが考えられる)だと、利害関係者から表示の取り消しを求められる可能性があります。

 また、第8章の附属書にも、食品の包装の表示は「正当な目的で必要なものに限る」「正当な商業的利益が保護されること」とされています。こうしたことから、国産表示や産地表示が海外の利害関係者に不当であるとして訴えられ、日本が敗訴することは十分にあり得るのです。(山田正彦)

Attention! 第8章 貿易の技術的障害(TBT)/第18章 知的財産
●第8.4条1項 貿易の技術的障害に関する協定の次の規定(2.1、2.2ほか)は、必要な変更を加えた上で、この協定に組み込まれ、この協定の一部を成す。
●第18.32条1項 締約国は(中略)次のことを根拠として、利害関係者が地理的表示の保護又は認定に異議を申し立てること(中略)を認める手続を定める。(c)当該地理的表示が、関連する物品の一般名称として日常の言語の中で当該締約国の領域において通例として用いられる用語であること。

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2016年10月26日水曜日

【そうだったのか!TPP-Q11】林業は自由化されているから影響ないのでは?

Q11.林業は自由化されているから影響ないのでは?

A11.国産材利用の流れに逆行しています


 たしかに丸太の関税は1964年にゼロになっており、合板の関税も高いもので10%と、すでに自由化は進んでいます。その結果、安い輸入材に押され、2002年には木材の自給率が18.2%まで下がってしまいました。

 しかし、国際的な森林資源や環境保全の動きで丸太の輸入が難しくなってきたことや、戦後植林した国内の森林が成長し、ちょうど利用できる時期になってきたこと、さらには国産材の利用を広げようと振興策が進められていることを受け、ここ数年で自給率は上昇。2014年には31%にまで回復しています。


 TPPでは、今残っている合板などの関税も長くても16年で撤廃されます。そうなれば、合板などの輸入がさらに増え、せっかく回復してきた自給率がまた下がってしまいます。国内の山林が荒れたり、国内外の環境に悪影響を与えたりする心配もあります。

 政府は、木材加工施設の大規模化やセーフガードで影響を防ぐと説明しますが、輸入相手国第3位のアメリカに対してセーフガードはなく、カナダとは4年後にセーフガードの存続自体を再検討することになっています。

 また、地方自治体などで木材の地産地消のために進められている地域材の利用振興策は、「輸入材を差別するもの」としてアメリカなどの企業・投資家からISDS条項で訴えられかねません。

 林業は、地域経済の再生や環境を守るうえでも、今後の日本にとって大切な分野です。しっかりと着目しなければなりません。(坂口正明)

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2016年10月25日火曜日

メールニュース TPP批准にSTOP! Vol.9 「採決ありき」の日程に野党反発  札幌と宮崎で公聴会~抗議の声を!

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■■  \\  メールニュース TPP批准にSTOP! Vol.9 // ■■
■           10月25日発行               ■


※このメールニュースはこれまでTPPテキスト分析チームのブックレットや集会にご参加くださった皆様をはじめTPP阻止の取り組みでご一緒した皆さまにお送りしています。ご不要な場合は管理者宛て(末尾)にご連絡ください。


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 1.与党の「採決ありき」の日程に野党が反発
  国会の行方は見通せず
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先週から今週にかけて、再び国会審議は不正常な状態になりました。

地方公聴会の日程も一度は10月24日に決められたものの、野党からの反発を受けて再調整し明日の26日(水)に開催することとなりました。全国的にTPPへの懸念が強い中、選ばれたのは北海道・札幌市と宮崎県高千穂町の2か所。特に高千穂町は市民がアクセスしづらい場所であることから疑問の声も多く上がっています。

札幌の地方公聴会では、これまでTPPに反対してきた農民団体や消費者団体・市民が、「TPP批准阻止」「十分な審議を尽くして!」などのアピールをするため、会場前でのアクションを予定しています(詳細下記)。足を運べる方はぜひご参加をお願いいたします。

さて国会審議ですが、10月21日も本日10月25日にも、TPP特別委員会の議事運営が乱暴であると抗議する民進党・共産党が委員会を退席、与党のみで参考人質疑が行なわれました。マスメディアによれば、まだほとんどの質疑が行なわれていない状況にあっても、「28日採決も可能性あり」との報道が聞こえてきます。26日に地方公聴会を行なった後には、まとめの質疑や中央公聴会も開催されるのが通常です。しかしそれらの手続きも無視して、28日あるいは月内に採決を目指しているのだとしたら、尋常なことではありません。TPPへの賛否を越えて、十分に内容を深める民主的な議論を多くの人が求めています。

ここ数日は、国会前での座り込み行動もあります。ぜひ多くの方の参加をお願いいたします。

また地元選出議員への働きかけやSNSでの発信など、できることを具体的に、一つでも皆さんでやっていきましょう!

★TPP特別委員会委員名簿
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_iinkai.nsf/html/iinkai/iin_t5230.htm


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 2.明日、札幌と宮崎で公聴会 ~抗議の声を!
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26日(水)、地方公聴会が北海道と宮崎県で開催されます。
一般の方々は中に入れませんが、会場前で抗議行動が行なわれる予定です。
プラカードを持って公聴会を取り囲み、抗議の声を届けましょう!

●札幌会場
10月26日(水)13:15~15:35
京王プラザホテル
北海道札幌市中央区北5条西7-2-1
https://www.keioplaza-sapporo.co.jp/

10:00~ 京王プラザホテル前で抗議行動
16:00~18:00 報告会
TKP札幌ホワイトビル6F カンファレンスルームC
札幌市中央区北4西7-1-5
https://www.facebook.com/events/616824195167146/

●宮崎会場
10月26日(水)13:00~15:00
ゆめゆめプラザ-TAC
宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井33-5
http://takachiho.ja-miyazaki.jp/yumeyume.php

※抗議行動は、会場前にて昼ごろから終了時間までの予定。


★★★プラカード★★★
セブンイレブンのネットプリントで印刷できます。
11月1日(火)まで印刷可能です。 各地のデモでもご活用ください!

ファイル名       プリント予約番号
NoThanksTPP_card_01  14036432
NoThanksTPP_card_02  13475390
NoThanksTPP_card_03  22772364
NoThanksTPP_card_04  53145990


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 3.国会前 座り込み行動に集まろう!
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緊迫する国会情勢を受け、10月25(火)~27(木)日の3日間、全国食健連の主催で、連続の座り込み行動が国会前にて行われます。
また28日(金)は「TPPを批准させない!全国共同行動」の主催で、10時から座り込み行動があります。
SNSでの情報拡散、当日のご参加をよろしくお願いします!


★10/25(火)~27 (木)12:15~16:00 国会前座り込み 
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1599847193652830&id=1535027440134806

★10/26(水) 17:00~院内集会 18:30~TPP共同アクション(下記、水曜日行動参照) 

★10/28(金) 10:00~TPPを批准させない!採決強行を許すな!座り込み行動
※終了時間は国会の状況により決定。
http://nothankstpp.jimdo.com/
 

■■国会議員地元事務所への要請行動も並行してやっていきましょう!■■

(1)地元事務所への要請の意義
国会議員は、地元有権者の動向を見ています。とくに自民党議員は、2012年の「TPP断固反対、ウソつかない、ブレない自民党」という公約に反した行動をとっているわけですから、なおさらです。参議院選挙、新潟知事選挙に示された市民と野党の共闘の力は、「公約に違反してTPP批准に賛成した議員は国会に戻さない」という有権者の強い意志にも通じます。地元事務所への要請の大事な意義はここにあります。

(2)要請のためのグッズ
「要請」ならびに「10.15中央集会アピール」(※)、できればブックレット「そうだったのか!TPP 24のギモン」も手渡して、議員や秘書などに読んでもらいましょう。議員も、自分の目で協定を確かめないで、「国会決議に反していない」という政府・官僚の説明をうのみにしている可能性があります。

※こちらでダウンロードできます。
http://nothankstpp.jimdo.com/


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 4.TPPを批准させない!水曜日行動
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これまでTPP批准阻止に取り組んできた幅広いネットワークは、下記の通り、「TPPを批准させない!水曜日行動」として、毎週水曜日に院内外で行動を行なっています。国会情勢を知り、声を上げていくために、ぜひご参加ください。

◆野党議員による国会報告&議員会館前アクション
11月30日(水)までの毎週水曜日 ※11月23日は休み

●17時~18時・国会報告と意見交換(議員会館内会場)
●18時半~19時半・議員会館前抗議行動

●会場:   
10月26日(衆院第二議員会館・第一会議室)
11月2日(衆院第二議員会館・多目的会議室)  
11月9日(衆院第一議員会館・大会議室)
11月16日(衆院第二議員会館・多目的会議室) 
11月30日(予定:衆院第一議員会館・多目的ホ-ル


●呼び掛け:TPPを批准させない!全国共同行動
http://nothankstpp.jimdo.com/


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 5.ジェーン・ケルシー教授講演会
 「アメリカを始め各国がTPP批准できない現状について」
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TPP交渉差止・違憲訴訟の会が講演会を行ないます。ぜひご参加ください。

日時: 10月31日(月)15時30分~17時30分
場所: 参議院議員会館 講堂

内容: ジェーン・ケルシー教授による講演と意見交換
    演題「アメリカを始め各国がTPP批准できない現状について」

問い合わせ先:TPP交渉差止・違憲訴訟の会 TEL.03-5211-6880 FAX.03-5211-6886


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 6. ロリ・ワラック氏ら、日本へ緊急メッセージ
   「TPPがアメリカ議会で通る可能性はほとんどない」
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10月7日(現地時間10月6日)、アメリカのワシントンD.C.にて、 山田正彦元農水大臣、日本の市民団体のメンバーが、TPP反対を訴えて抗議活動を行い、パブリック・シチズンのロリ・ワラック氏、ナショナル・ファーマーズ・ユニオン会長のロジャー・ジョンソン氏より日本へ緊急メッセージが届けられました。「TPPがアメリカ議会で通る可能性はほとんどない」「日本はなぜ急いで批准しようとするのか?」と、いまの情勢の本質を突いた疑問が提示されています。ぜひ、SNSなどで拡散してください。


― 米パブリック・シチズンとナショナル・ファーマーズ・ユニオンから日本へ緊急メッセージ! 
~TPP反対活動を続ける山田正彦・元農水大臣らによる訪米アクション~ 2016.10.7
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/339837



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 7. 大好評で6万部突破!
  ブックレット「そうだったのか!TPP」
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TPPテキスト分析チームが8月に刊行したブックレット「そうだったのか!TPP」は、発売以来、全国から注文が相次ぎ、増刷を続け6万部に達しています。学習会などでご利用いただいていますが、まだまだ多くの方にお読みいただきたいと願っています。

※TPPの中身をわかりやすく、24のQ&A方式でまとめています。学習会やイベントでTPPの問題を考えるテキストとしても最適です。
※本ブックレットは、1部100円(送料別、注文は5部以上)で販売しております。また全ページ、PDF版で閲覧可能です。

ぜひお読みいただき、TPPについて考えるきっかけとしてご利用ください!
★詳細・ご注文は→ http://notppaction.blogspot.jp/2016/08/tppq.html



■■■TPPテキスト分析チーム■■■

●ウェブサイト「そうだったのか!TPP」
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■□■…………………………………………………………………………………
編集後記
いよいよ明日、札幌と宮崎で公聴会が開催されます。たくさんの方が集まり、抗議の声が国会に届くことを祈っています。さて、22日(土)にNHKで放送された「シリーズ マネー・ワールド 資本主義の未来 第2集 国家VS.超巨大企業~富をめぐる攻防~」http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20161022 がとてもよかったようです。 私は見逃してしまったのですが、資本主義の限界、新自由主義の矛盾を鋭く批判する内容だったようで、ぜひ見たい!と思っていたら、再放送があることがわかりました。本日(25日)深夜です。 10月26日(水)午前0時10分~0時59分。「第3集 巨大格差 その果てに」の再放送は、29日(土)午前0時10分~0時59分(28日深夜)。お見逃しなく!(柴田麻里)
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【編集】アジア太平洋資料センター(PARC) 内田聖子/柴田麻里
【発行】TPPテキスト分析チーム
●毎週火曜日・金曜日発行
※本メールニュースはウェブサイトでも掲載しています。
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2016年10月21日金曜日

メールニュース TPP批准にSTOP! Vol.8 「国会、相次ぐ暴挙 ~参院特別委設置、地方公聴会決定」



■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■■■
■■ \\ メールニュース TPP批准にSTOP! Vol.8 // ■■
■ 10月21日発行    ■


※このメールニュースはこれまでTPPテキスト分析チームのブックレットや集会にご参加くださった皆様をはじめTPP阻止の取り組
みでご一緒した皆さまにお送りしています。ご不要な場合は管理者宛て(末尾)にご連絡ください。


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 1.国会、相次ぐ暴挙 ~参院特別委設置、地方公聴会決定
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10月14日から始まった衆議院でのTPP特別委員会は、開始からわずか1週間の間で信じられない状態となっています。

野党の質問が始まったのは今週17日(月)になってからでした。その翌日18日夜、山本農水大臣が佐藤勉議運委員長のパーティーの席上で、
山本農水大臣が「強行採決要望」ともいえる発言をしたことで、19日の委員会直前の理事会は紛糾。委員会は開会されないまま休会に入りました。
夕方6時頃から委員長職権で委員会が開会されましたが、農水大臣の罷免、委員長の「強行採決はしない」旨の文書提出という民進党などの要求が容れられないため、
民進党・共産党の委員は退席しました。その後継続された委員会では、山本大臣が先の発言の取り消しと謝罪を行い、民進・
共産両党が退席のまま、維新の会の質疑が行われました。

わずか30分の質疑の後、委員会終了間際に委員長は、「10月24日に北海道と宮崎で地方公聴会を行うことをお諮りする」として、その場にいた与党・
維新の会だけで採決をしてしまいました。もともと審議が始まったばかりの段階で、地方公聴会の日程を決めることは、「採決ありき」
の姿勢だとして、野党側は了解していなかったわけですが、その野党が退席中に、しかも山本農水大臣の失言があった直後のこの採決は、到底納得できません。

さらに今日、また急展開がありました。午前の本会議で参議院はTPPに関する特別委員会の設置を与党や民進党などの賛成多数で議決してしまいました。

また、衆議院の特別委員会は、今日午後、理事会を開き、24日に予定されていた地方公聴会を26日に開くことで与野党が合意したようです。

これらはすべて、「10月中に採決」という安倍首相の強い意向に沿ったスケジュールが組まれているということです。こうした暴挙が許されていいのでしょうか。
国会の外から、いっそう強く、声を上げていくしかありません。


★TPP特別委員会委員名簿
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_iinkai.nsf/html/iinkai/iin_t5230.htm


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 2.10/28国会議員会館前座り込みと議員要請行動を!
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「TPPを批准させない!全国共同行動」は、緊迫する国会情勢を受け、強行採決が見込まれる10月28日(金)に、下記のとおり、座り込みを呼びかけています。
SNSでの情報拡散、当日のご参加をよろしくお願いします。

--------(以下転載)----------

協定文などの誤訳や政府の影響試算の根拠を失う輸入米の価格偽装など、審議の前提が崩れているにも拘わらず、臨時国会では、さる10月14日(金)
にTPP承認と関連法案の審議入りが強行されました。ところが政府・与党は、審議が始まったばかりで、
その審議でも協定全体から見ればほんの一部しか扱っていないという状況にもかかわらず、月内に衆議院を通過させようと「採決」に向けた策動を始めています。
衆議院の月内通過ありきの日程は絶対に許されません。

政府・与党は、19日の一般質疑、21日の参考人質疑(ここまでは決定)に続いて、24日に地方公聴会(北海道、
宮崎県が想定されています)を行い、「採決の条件を整え」28日には衆議院特別委員会・本会議の採決を強行しようとしていると見られます。

「TPPを批准させない!全国共同行動」実行委員会は、18日に開催した会合で、「10.15一万人行動」
に寄せられた「なんとしてもこの国会での批准を止めよう!」の思いを受けて、10月28日に全国からの結集で座り込み行動をよびかけることとしました。また、
合わせて国会議員地元事務所への要請行動もよびかけます。

ぜひ全国からの参加で成功させ、採決強行を止めましょう!やれることはやり尽くして、TPPの批准を止めましょう!

1.「TPPを批准させない!採決強行を許すな!座り込み行動」

(1)日時:10月28日(金)10時~(国会の状況により終了時間は決めます)
(2)場所:衆議院第2議員会館前を中心に
(3)行動内容:座り込み・抗議行動および国会傍聴行動
(4)一人ひとりの思いを表現したアピールグッズを持ち寄りましょう。

2.国会議員地元事務所への要請行動

(1)地元事務所への要請の意義
国会議員は、地元有権者の動向を見ています。とくに自民党議員は、2012年の「TPP断固反対、ウソつかない、ブレない自民党」
という公約に反した行動をとっているわけですから、なおさらです。参議院選挙、新潟知事選挙に示された市民と野党の共闘の力は、「
公約に違反してTPP批准に賛成した議員は国会に戻さない」という有権者の強い意志にも通じます。地元事務所への要請の大事な意義はここにあります。

(2)要請のためのグッズ
「要請」ならびに「10.15中央集会アピール」(※)、できればブックレット「そうだったのか!TPP 24のギモン」も手渡して、
議員や秘書などに読んでもらいましょう。議員も、自分の目で協定を確かめないで、「国会決議に反していない」
という政府・官僚の説明をうのみにしている可能性があります。

※こちらでダウンロードできます。
http://nothankstpp.jimdo.com/


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 3.TPPを批准させない!水曜日行動
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これまでTPP批准阻止に取り組んできた幅広いネットワークは、下記の通り、「TPPを批准させない!水曜日行動」として、
10月5日から毎週水曜日に院内外で行動を行なっています。国会情勢を知り、声を上げていくために、ぜひご参加ください。

◆野党議員による国会報告&議員会館前アクション
11月30日(水)までの毎週水曜日 ※11月23日は休み

●17時~18時・国会報告と意見交換(議員会館内会場)
●18時半~19時半・議員会館前抗議行動

●会場:
10月26日(衆院第二議員会館・第一会議室)
11月2日(衆院第二議員会館・多目的会議室)
11月9日(衆院第一議員会館・大会議室)
11月16日(衆院第二議員会館・多目的会議室)
11月30日(予定:衆院第一議員会館・多目的ホ-ル


●呼び掛け:TPPを批准させない!全国共同行動
http://nothankstpp.jimdo.com/


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 4.国内のアクション
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日本国内各地で「今国会でのTPP批准などありえない!」とさまざまなアクションが活発化しています。
今回は、大阪で行なわれるパレードを紹介します。ぜひご参加ください。

緊急署名は、SNSなどでの情報拡散をしていきましょう!


●ストップ!TPP緊急行動 御堂筋大パレード

アメリカ国内でも大反対の声がおこり、批准は難しいといわれているTPP。
いったいなぜ日本だけがごり押しでTPPに批准しようとしているのでしょう?

わたしたちの生活を根底から覆してしまう危険性があるおろそしい協定TPP。
けれども政府は詳しい情報をひた隠しにし、大手マスコミもその内容についてまともに取り上げません。
ほとんどの一般市民がTPPのことをよく知らないまま、国会での強行採決が行われようとしています。

街頭にでて、多くの人にTPPの危険性を知らせましょう。
TPPの国会批准を阻止しましょう!

日時:10月29日(土) 14:00~集会 15:15~パレード出発
場所:靱公園・東園(地下鉄「本町」28出口徒歩約5分 http://loco.yahoo.co.jp/place/g-ErLFmcAX2hc/map/
主催:ストップ!TPP緊急行動・関西
連絡:stoptppkansai@gmail.com



●TPP協定を今国会で批准しないことを求める緊急署名

10月26日、11月2日の水曜行動の際に紹介議員に手渡す予定です。ぜひご協力ください。

http://nothankstpp.jimdo.com/%EF%BD%94%EF%BD%90%EF%BD%90%E5%8D%94%E5%AE%9A%E3%82%92%E4%BB%8A%E5%9B%BD%E4%BC%9A%E3%81%A7%E6%89%B9%E5%87%86%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81%E3%82%8B%E7%B7%8A%E6%80%A5%E7%BD%B2%E5%90%8D/

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 5. あの人もTPPに注目!
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TPPに注目しているのは、私たち市民だけではありません。このコーナーでは、実はあの有名人もTPPに注目し、疑問を投げかけている!
という発言を随時紹介していきます。ぜひツイッターやフェイスブックなどで拡散してください。

今回は、日本劇作家協会の「TPP と著作権に関する緊急アピール」と、いとうせいこうさんの発言を紹介します。

●日本劇作家協会

TPPでは著作権の保護期間が作者の死後70年に規定されていますが、日本の現行法では50年のため、TPPに合わせ国内法の改正が必要になります。これに対し、
同協会が懸念を表明しました。

「・・・(中略)改正案では、「非親告罪化」には一定のセーフガード文言があり、パロディや二次創作がただちに日親告罪化されないなど評価できる
部分もある一方、「保護期間の大幅延長」は手つかずでそのまま導入されています。これは遺族の収入増には結びつかず、
逆に大多数の作品の死蔵を招き、新たな創造を困難にするとして、国内では一貫して強く批判されてきたものです。作家の死後長期間が経過した作品が、
権利承継者の強い意向で上演などを制約される例は少なくなく、私達は権利者である以前に表現者として、このことに無関心でいられません。(後略)」(
2016年10月13日)

http://www.jpwa.org/main/statement/appeal20161013


●いとうせいこうさん

自身のSNSで、TPPについて最新ニュースをリツイートしたり、過去にもたびたび疑問を呈しています。

「改めてトランプもクリントンもTPP反対。むろんサンダースも。つまりアメリカはどっちに転んでも『離脱』
の方向。この雲行きが判明した数ヶ月前、日本の責任者は急に『不眠』になって姿を消した。なのに日本のブレーキが利かない。
その道をどうするんだ?」(2016/06/30)
https://www.instagram.com/p/BHPu5vLBLHB/

「俺はシリアに対する攻撃と、TPPによる支配とに区別を感じない。アメリカは過去の「戦争」の概念を脱構築した戦争を続行している。湾岸戦争以来、
それは続いている」(2013/08/29)
https://twitter.com/seikoito/status/373008373106491394



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 6. 大好評で6万部突破!ブックレット「そうだったのか!TPP」
──────────────────────――─――――──―

TPPテキスト分析チームが8月に刊行したブックレット「そうだったのか!TPP」は、発売以来、全国から注文が相次ぎ、増刷を続け6万部に達しています。
学習会などでご利用いただいていますが、まだまだ多くの方にお読みいただきたいと願っています。

※TPPの中身をわかりやすく、24のQ&A方式でまとめています。学習会やイベントでTPPの問題を考えるテキストとしても最適です。
※本ブックレットは、1部100円(送料別、注文は5部以上)で販売しております。また全ページ、PDF版で閲覧可能です。

ぜひお読みいただき、TPPについて考えるきっかけとしてご利用ください!
★詳細・ご注文は→ http://notppaction.blogspot.jp/2016/08/tppq.html



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編集後記
毎日目まぐるしく、国会の状況がひどいことになっていきます。その割に、マスメディアのTPPに関する報道は本当に少なく、
巷でもほとんど話題になっていません。昨日、スーパーで納豆を購入するときに、「大豆(遺伝子組み換えでない)」という表示を見ながら、
なんだかしみじみしてしまいました。食の安全、医療、保険・・・など私たちの暮らしに直結する話題なのに、なぜマスメディアはもっと報道してくれないのか・・・。
すでにメディアは多国籍大企業の論理に支配されているのですね。(柴田麻里)
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【編集】アジア太平洋資料センター(PARC) 内田聖子/柴田麻里
【発行】TPPテキスト分析チーム
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【そうだったのか!TPP-Q10】漁業にも影響はあるんけ?

Q10.漁業にも影響はあるの?

A10.漁業補助金が出なくなる恐れがあります


 TPPは農業の問題としか考えていない人が多く、漁業者からも不安視する声は聞かれません。これまで日本は、漁港の整備や燃料に補助金を交付したり、漁船を造るために低利な融資を行ったりすることで、沿岸の零細な漁民をかろうじて守ってきました。

 ところがTPP協定の第20章「環境」では、「濫獲(乱獲)や過剰な漁獲能力に寄与する補助金」を規制し、削減・撤廃しなければなりません。政府は、日本は過剰な漁獲に当たらないので、「補助金はなくならない」と説明しています。しかし濫獲とは、「最大持続生産量(総量を減らすことなく漁獲できる最大量)を維持する水準」と定義されており、日本はアジやサバ、イカ、サンマなどを除いて、過剰な漁獲とされる可能性があります。しかもその判断は、国際機関やTPPの小委員会で行われます。参加国のなかに、伝統的な沿岸漁業に理解を示す国は見当たりません。

 もう一つの懸念は、外資系水産会社が漁業権に入札できるようになることです。第10章「国境を越えるサービス」の附属書では、例外は「漁業への投資、または漁業に関わるサービス」だけであり、「漁業」そのものは守られていないと考えられます。イギリスがEUを離脱したのは、沿岸の漁業が外資系企業に荒らされたのも理由の一つだったと報じられています。

 これまで日本の漁業は、いわばセーフガードともいえるIQ制度(輸入上限を定め、それ以上の輸入を禁じる制度)により維持されてきましたが、これも廃止されます。関税も、昆布を除いて即時撤廃または16年かけて撤廃です。このままではひどい打撃を受けるかもしれません。(山田正彦)

Attention! 第20章 環境
●第20.16条5項 締約国は、(中略)濫獲及び過剰な漁獲能力に寄与する全ての補助金の規制、削減及び最終的な撤廃を含めなければならないことを認める。(中略)補助金及び相殺措置(中略)を交付し、又は維持してはならない。

★大好評のブックレット「このまま批准していいの?続・そうだったのか!TPP 24のギモン」。学習会やイベントのテキストとしても最適です。注文はこちらから。

2016年10月19日水曜日

【そうだったのか!TPP-Q9】農産物は例外があるから守られたのでは?

Q9.農産物は例外があるから守られたのでは?

A9.手をつけていない品目がないことを政府も認めました


 守られたものなど一つもありません。TPPでは、これまでのFTAと異なり、関税の撤廃・削減をしない「除外」や「再協議」の規定が存在せず、すべての農産物が関税撤廃の対象となります。


 日本の農産物のうち高関税のものは、重要5品目(米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)などごく一部にすぎません。これらの重要農産物は、地域や国土の保全、国民生活に大きな影響を与えるため、TPPに関する国会決議は、関税の撤廃・削減をしないことを求めていたのです。しかし、政府はこの決議に反し、重要5品目の29%(170品目)で関税撤廃に合意しました。野党が「無傷のものはいくつあるか」と追及すると、政府は、税率を維持したとするものも含め、すべての品目に手をつけたことも認めました。重要5品目以外では、じつに98%の品目で撤廃されます。


 政府が「例外」とする、即時の撤廃を免れたものには、さまざまな悪条件を押し付けられました。牛・豚肉の関税は大幅に引き下げられ、輸入肉との価格差を考慮すれば実質ゼロで壊滅的な影響を受けます。米、麦、乳製品、砂糖については輸入枠が新設されます。日本は現在、水田面積の4割で減反しながら、WTOの下で年間77万トンの米を輸入していますが、TPPで輸入枠がさらに8万トン近く増えます。輸入が急増した際に関税を一時的に引き上げるセーフガードも発動が著しく難しく、すべて期限付きです。

 さらにとどめを刺すのが、日本だけが農産物輸出国5か国と約束した、発効7年後の見直し協議です。5か国の平均関税撤廃率は99.8%。日本がさらに厳しい譲歩を強いられるのは必至です。(岡崎衆史)

Attention! 第2章 内国民待遇及び物品の市場アクセス
●第2.4条2項 各締約国は、この協定に別段の定めがある場合を除くほか、附属書2-D(関税に係る約束)の自国の表に従って、漸進的に関税を撤廃する。
●附属書2-D(日本国の関税率表:一般的注釈)9(a) オーストラリア、カナダ、チリ、ニュージーランド又はアメリカ合衆国の要請に基づき、(中略)原産品の待遇についての約束(この表における関税、関税割当及びセーフガードの適用に関するもの)について検討するため、(中略)7年を経過する日以後に協議する。

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2016年10月18日火曜日

【そうだったのか!TPP-Q8】じゃあ、TPPはどうやったら止められるの?

Q8.じゃあ、TPPはどうやったら止められるの?

A8.日米が批准しなければ、TPPは発効しません


 TPP協定は、全参加国が2年以内に議会承認など国内手続きを終えられない場合、国内総生産(GDP)の合計が85%以上を占める6か国以上が合意すれば、発効することになっています。このこと自体、GDPが重視された経済大国優先のルールといえます。


 TPP参加国ではアメリカと日本がGDPの8割近くを占めているため、両国とも批准しなければ発効できません。その意味では、日本はTPP発効の鍵を握ります。日本が批准しなければ、アメリカの結果を待つことなく、その時点でTPPは破棄となるのです。

 アメリカでは大統領選を控えTPP反対の声がかつてないほど高まっており、批准の見通しはまったく立っていません。その他の国は、2016年2月の署名後は国民への説明や影響試算などを行っており、またアメリカの批准が見通せない中で早期批准をする必要がないため、2016年8月現在で関連法まで含めて完全に批准した国はありません。


 こうした状況のなか、4月の国会、そして秋からの臨時国会で拙速に批准を進めようとする日本の姿は極めて異常です。十分な説明もなされないまま、批准の手続きを進めさせてはなりません。

 アメリカとEUの貿易協定(TTIP)や、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などのメガFTAも、交渉が大幅に遅れています。各国の異なる状況を無視して企業や投資家に有利なルールを押し付けようとする交渉には矛盾と無理があり、また途上国政府や市民社会が強く反発していることが理由です。日本でも、いのちや暮らし、民主主義の観点からも、「TPPはいらない!」という声を上げ続けることが大切です。(内田聖子)

Attention! 第30章最終規定
●第30.5条1項 この協定は、全ての原署名国が(中略)国内法上の手続を完了した(中略)後60日で効力を生ずる。
●第30.5条2項 この協定は、(中略)少なくとも6の原署名国であって、(中略)国内総生産の合計が(中略)85%以上を占めるものが(中略)国内法上の手続を完了した(中略)後60日で効力を生ずる。

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2016年10月14日金曜日

【そうだったのか!TPP-Q7】政府の試算では メリットもあると聞いたけど?

Q7.政府の試算ではメリットもあると聞いたけど?

A7.恣意的な数字操作による試算といわざるをえません


 日本政府が2015年12月に出した影響試算によると、TPPの発効後10~20年でGDPは2.59%(13.6兆円)上昇、雇用は79.5万人も増えるとしています。2013年の試算に比べると4倍以上もプラスの効果が増えました。


 この試算の前提は、①輸出入の拡大によって貿易開放度が上昇する、②生産性の上昇によって賃金・労働供給が増える、③所得の向上によって貯蓄・投資が増えて生産力が拡大する、というものです。しかし日本経済は、労働コストを下げることで生産性を上げてきました。自由貿易がさらに進めば、労働コストをさらに下げるしかなく、無理のある前提です。

 米タフツ大学が2016年1月に発表した、より現実的な試算では、日本はTPPの発効後10年でGDPが0.12%減少、雇用は7.4万人失われると分析。日本政府とは真逆の結果となりました。この分析に携わった経済学者のジョモ・K・スンダラム氏は、2016年5月の来日時に「日本政府の試算は驚くほど楽観的」と指摘します。「どの分野で雇用が80万人も増えるのか?」と質問すると、政府の担当者は「どの分野で雇用が増えるかという詳しい試算はない」と答えました。


 また、政府の試算は、農業への影響を過小評価しています。2013年の試算では4兆円の減少だったのが、2015年には1,500億円の減少と、20分の1以下に縮小。「対策をするから影響はない」というのが政府の主張ですが、影響額を出す前に対策費を入れ込むとは本末転倒です。東京大学の鈴木宣弘教授の試算では、農林水産業の減少額は1.6兆円にも上ります。

 このように、モデルや前提が変われば、試算の結果はいかようにも変わります。貿易を推進する立場にある米国政府の国際貿易委員会(ITC)の報告でも、「TPPによる経済効果はほとんどない」という結果が明らかになっています。日本政府の試算を鵜呑みにするのではなく、第三者機関や研究者による冷静な分析も踏まえた議論が必要です。(内田聖子)

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