2016年11月1日火曜日

【そうだったのか!TPP-Q15】検疫がしっかりしていれば大丈夫では?

Q15.検疫がしっかりしていれば大丈夫では?

A15.「48時間ルール」では食の安全を守れません


 現在、日本に入ってくる輸入食品は、平均92時間あまりかけて検疫所でチェックしていますが、TPPでは、48時間以内に検疫を終えて国内で流通させることが原則となりました。

 TPP協定文の第5章「税関当局及び貿易円滑化」には、輸入手続きの迅速化という名目で、「原則48時間で必ず入れなければならない」(原文で“shall”(すべき)と記載)と書かれています。日本政府は例外も認められると説明していますが、この条文が厳密に適用されれば、輸入品をしっかりとチェックできるのか、甚だ心配です。今でも、全国の検疫所で400人あまりの検査官が抜き取り検査(検査率10%程度)を行っているに過ぎないなか、さらに検疫体制がおろそかになることが予想されるからです。

 これまでにも、トマトから基準値を大幅に超える残留農薬が見つかった例がありましたが、判明したときにはすでに全量が消費済みで4万人以上が食べてしまいました。以前は、検疫所で安全性が確認されるまで留め置いていたのですが、近年、貿易優先の考え方が重視されているのです。今後TPPが発効し、さらにグローバル企業が利益を拡大することが重視されれば、消費者の健康や権利は後回しになりかねません。(山浦康明)

Attention! 第5章 税関当局及び貿易円滑化
●第5.10.1条 各締約国は、締約国間の貿易を円滑にするため、効率的な物品の引取りのための簡素化された税関手続を採用し、又は維持する。
●第5.10.2条 (中略)次のことを含む手続を採用し、又は維持する。(a) 中略)(可能な限り物品の到着後48時間以内)に物品の引取りを許可する…

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